昨日は、前にいた会社において最終的に入社する人うち、約50%~70%がインターン生だったという事実を正しく読むためには、『企業の採用活動とは、本当は何をどうすることなのか』がポイントだというところまで書きました。今日はその続きです。
『企業の採用活動とは、本当は何をどうすることなのか』に対する模範解答としては、『学生に自社で働くメリットをアピールし、共感して応募してきた学生の中から、将来戦力になりそうな学生を選んで採用する。』です。しかし、それは表面的な目的であり本質に近づけない。
僕は、企業の採用活動の本質は以下の6つだと考えます。
①学生の志向(業界や業種)を破壊し (「限定せず」「幅広く」「未来を狭めず」などの可能性論で語られる)
②学生の価値観を破壊し (「人は何のために○○するのか」「本来は」などの本質論で語られる)
③学生の思考の仕方を変え (「どう判断すればよいか」「何がいま求められているか」などで語られる)
④学生の価値観と思考を方向付け (話の中にさりげなく「業種」「業界」「企業」の良し悪しが組み込まれる)
⑤学生が自社しか選ばないようにし (作られた思考フレームで考えたら、その企業しか選べないようになる)
⑥人間性でダメ押しする (気が合う人がいると、その人がいる組織を選択する可能性が高くなる)
何もしなくても学生が集まってくる有名企業は例外として、そうでない企業は多かれ少なかれ、これらの要素のいずれか、もしくは全部を含んだ形で活動しているのではと思うわけです。
この観点で、昨日書きました「前の会社がやっていたインターン」の記述を見てみましょう。
> 「組織とは」「就職とは」といったテーマでブレーンストーミングをして学生の頭をほぐしたり鍛えたりする
①と②ですね。③も若干含まれているかも知れません。人の幸せ、生きがい、歴史などを考えさせると、考え方の枠が比較的簡単に取り外すことができます。
> 実際に発生している顧客の問題をテーマに現場の社員と一緒にディスカッションをしたり
④が該当します。顧客の問題点を提示し、自分たちが提供している価値を伝えることで、顧客の業界を暗に否定し、自分たちの業界を暗に肯定します。
また、ここには書かれないんですけど、インターンが終わったあとは、メールや電話でフォローを入れたりして、⑥を行っていました。
こんな感じで、早くもインターンの時点でも、上の6つの考え方に沿って学生の確保を着々と進めているわけです。無償で社会人経験を積ませてくれるなんていい企業だなぁ、なんて思って気軽に(=無防備に)インターンに参加してはいけないということです。企業にとってこのインターンの目的は何なのかを認識した上で、参加して欲しいですね。
って、いまごろ言っても遅いですよねw
もう参加した人は、そういった観点でインターンを見直してみてはどうでしょう。また、上の6点は採用活動全般について言えることなので、これから就職活動をする学生の方は参考にしてください。
最後に、ちょっとだけインターンのフォローをしておきます。もし、ある特定の企業や業界に強く入りたいという思いを持っているなら、ぜひ参加してください。業界のことが良くわかりますし、何よりその企業に入れる確率は確実に高まりますので。その場合の注意点としては、いくら「採用には関係ありません」と言っても、実際は企業は既にセレクションを開始しているということ。気を緩めずに臨んで貰えればよいと思います。
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